漆黒の底に透き通る青を見た。



深い。ただただ深く、そして暗いと思った。


「苦しいのか。」
蒼天の澄み渡るそれとは違う光の通らない深海の青を見て思う。
苦しいのか。その青はおまえなのか。
だとしたら、なんて悲しい。


「わたしには目指すものがある。」
目指さなければならない、ものが。
紡がれた言葉から伝わるのは揺るぎない決意。しかし、それは、あまりにも、


「重い。」
それが、その望みがおまえを沈めるのだ。
鉄鎖の如く絡むそれがこの男を深海の青へと引きずり込むのだろう。


((おまえは沈んでいく))
沈んで、いつかは潰される。己の背負う望みによって。
悲しい。この男はなんて悲しい。


「苦しいのか。」
手を伸ばし男の顔に触れる。
蒼天のそれとは違う深海の青に冷たい鉄鎖の音を聞いた。


(あおいろ)